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MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
今月の初め、アウェイで行われたJリーグのアビスパ福岡戦は、早い時間帯に残念な形で失点してしまいました。福岡というチームは、限界ギリギリのような高い強度でプレーをしてきますし、リードするとあらゆる手段で相手の攻撃を止めにかかります。強いフィジカルコンタクトをベースに速攻を仕掛けてくるチームです。その中で、我々は押し込んでからの最後の部分が足りず、得点することも、決定機を作ることもできませんでした。
あの試合では、普段ならできていることができていませんでした。せっかくスペースを作っても、それをうまく生かせなかったり、簡単にボールをロストしたりというミスもありました。また焦りからか、全体に前がかりになり、いるべきところに選手がいないということもあったと思います。普段ならしっかり避けることができている相手のカウンターを受けてしまう場面もありました。
水曜日に行われたアウェイのYBCルヴァンカップ柏レイソル戦は、それとは違う内容でした。立ち上がりにキャスパー ユンカーのゴールが良い形で決まりましたが、後半に3点を失いました。1失点目はセットプレーでしたが、防ぐことができたと思います。2失点目は、速いカウンターを受けたとか、GKと1対1になったとか、それほど危険な場面を作られたわけではないので、PKを取られるようなプレーをしなくても良かったと思います。逆転したことで柏のモチベーションがより高くなってしまいました。3失点目の場面では、もう少し相手に対して強く行っても良かったと思っています。
しかし、終盤にリードを広げられても選手たちは諦めませんでした。かつての川崎フロンターレ戦などは、0-1でハーフタイムになって少し沈んでしまったような姿もありましたが、今は状況を変える戦いができています。
やみくもにロングボールを多用すると相手を有利にしてしまいますが、この試合では時間がないからと焦って速攻ばかり仕掛けるのではなく、きちんとポジションを取って、狙いのある攻撃をしていました。ときどき2-2-6のような形になることもありましたが、それも狙いのある戦い方でした。その中で、短い間に2点を挙げてドローで試合を終えることができました。
選手たちが戦う姿をしっかりと見せていた柏戦の結果は、チーム全体に良い影響をもたらすと思います。
シーズンの序盤は、少し“負けぐせ”と言えるような姿もありましたが、4月に入ってからメンタル的な強さが見られるようになり、相手に競り勝つ力がついてきました。良いプレーをしても、結果につながらなかった試合が多かったのですが、内容に見合った結果が出るようになってきたと思います。
リーグ戦とカップ戦が良い相互作用をもたらしていると言えるでしょう。ルヴァンカップが始まるときに狙いの一つに挙げましたが、選手の全員がリーグ戦で戦うチャンスをつかめるようになってきたと思います。
さらに、キャスパーの加入と初ゴールはチームに良い刺激と競争をもたらすでしょうし、トーマス デンもメンバー入りするまでに回復しています。
本日はJリーグ第13節のベガルタ仙台戦です。仙台は今、あまり良い結果が出ていませんが、戦う前に順位表を見るのはやめておきましょう。また昨季、大勝したことも考えないほうが良いでしょう。それらが危険を招くかもしれません。
相手に関係なく、私たち自身が良いプレーをしなくてはならないのです。立ち上がりが良くて、その後良くない時間帯があるということがあってはなりません。90分、総合的に良いパフォーマンスで戦わなければなりません。鹿島アントラーズ戦や清水エスパルス戦のように、それができた試合もあります。
良い戦いをして勝ち点3を積み上げ、リーグ戦でのホーム4連勝を果たすため、全力を尽くします。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
リーグ戦では鹿島アントラーズ戦から6試合連続で先発し、その間の戦績は4勝2敗。前節のアビスパ福岡戦では今季初めてリーグ戦でフル出場を果たした。スタートから興梠慎三とコンビを組んだのも今季初だった。
「福岡戦はもう少し慎三さんと2人で良い場面を作りたかったですね。長く一緒にやっているのでお互いのことを分かっていますし、もっと良いパスを出したり、チャンスを作ったりしたかったのですが、それがあまりできませんでした。
ボールを握って前に運ぶということは、どの試合でもできるようになってきましたが、そこから崩し切るとか、強引にシュートに持ち込むとか、最後のところがうまくいかず、福岡戦では大きなチャンスを作れずに終わってしまいました。相手はしっかりとブロックを作っていて、こちらのくさびのパスにも厳しく当たりに来ていました。ただ、あれくらい引いてくるチームを相手にするとそういうことはあるので、潰されるシーンをゼロにはできなくても、そのうち何回かをビッグチャンスにつなげていく必要があります。
コンビネーションでエリアの真ん中を割っていくシーンも少しずつ増えてはいますが、もっとチャレンジしていいと思いますし、そこからの得点がほしいですね。サイドに人数を掛けて運ぶことはできていますし、相手にとって嫌なポジション取りもできているので、あとはグッとスイッチが入るような勝負のパスを入れたいです」
鹿島戦、清水エスパルス戦、徳島ヴォルティス戦での3連勝は、レッズのサッカーが浸透してきたことを印象づけるものだった。ただし、今後も勝ちを重ねていくために、さらに内容を突き詰めていく必要がある。
「ボールの運び方は開幕からどんどん良くなってきています。負けた川崎フロンターレ戦でも良い時間帯は作れていましたし、3連勝した時期はそういう時間が増えていたのかなと思います。徳島戦は少し難しさがありましたが、こちらがボールを持っていれば相手のチャンスも少なくなりますから。
ただ、勝った試合もすべて完璧というわけではなく、納得できるのは鹿島戦ぐらいでした。もちろん勝つのは良いことですが、もっともっと突き詰めていかなくてはいけないと思います。逆に、負けたセレッソ大阪戦のほうが、徳島戦や大分トリニータ戦よりも多くのチャンスを作っていて、内容的には良かったかもしれません。サッカー“あるある”というやつですね」
5月5日のYBCルヴァンカップ柏レイソル戦でのキャスパー ユンカーのデビュー戦ゴールは、チームにとって、特に攻撃陣にとって大きな刺激になったはずだ。周囲がユンカーの特長をいち早くつかむことも必要だろう。
「騒がしいタイプではなく、さわやかな好青年というか、みんなと自然にコミュニケーションを取っていますね。練習の中で『ここへ欲しい』という要求もしていますし、お互いの理解がもっと深まれば、良い関係を築いていけると思います。
シュート技術はすごく高いものを感じましたし、ゴール前で勝負するタイプだということは彼自身も言っていました。良いボールを届けてあげれば柏戦のようにゴールを奪えると思いますし、相手チームにそのイメージが定着すれば、今度は他の選手のチャンスも増えてくるはずです。今季は僕自身もまだ点を取っていないので、早くゴールを決めたいです」
ベガルタ仙台は前節、リーグ戦での今季初勝利を挙げた。相手を波に乗せることなく、ホームでの連勝を継続したいところだ。
「なかなか勝てなかった中での初勝利ということで、相手はより強い気持ちで臨んでくるはずです。難しい試合になると思いますが、僕たちも連敗するわけにはいかないですし、またホームで勝利する姿をファン・サポーターのみなさんに見せるためにも、自分たちがやるべきことをしっかりとやりたいです」
水曜日の柏戦では、みんな諦めずにプレーを続けて、2点のビハインドから引き分けに持ち込みました。苦しい中でも監督が求めているサッカーをやり続けて得点したというのはチームの自信になりましたし、大きな勝ち点1だったと思います。
ああいう状況にはあまりしたくないですが、シーズンを戦っていくうえで、似たような状況を迎えたときに、チームとしてブレずにやるということがより明確になったんじゃないかと思います」
ルーキーでは唯一、開幕から公式戦17試合すべてに出場。うち先発が11試合というのはプロ選手としての価値を示すものだ。“プロ1年生”は、連戦の中でのリズムの作り方や回復の仕方などを確立しているのだろうか。
「自分がここまですべての公式戦に出ているということは自覚していますし、それについての満足感はあります。以前は起用してもらって満足していましたが、今はより試合に出ている責任や覚悟を持ってやっています。
試合に向けたルーティン的なものはまだないんですが、連戦は大学のときから経験しているので、水曜日に試合があったり、なかったりするからといって、自分のコンディションが崩れることはありません」
開幕から2カ月半が経って、チームと自分にどんな変化を感じているのだろう。
「チームとしては、キャンプから積み上げてきたものが試合の中でどんどん出せるようになってきて、成熟度は増していると思います。試合のたびに課題も出てきていますから、それをクリアしていくことでもっと成長していけるはずです。
先制されたり、逆転されたりという状況で、試合をひっくり返す力がついてきたことは、チームとして良いことだと思います。でも、先制されること、逆転されてしまうこと自体が、そもそもの課題でもありますけどね。
個人としては、多くの試合に出させてもらって周りとの連係は良くなっていると思いますし、自分の良さは出せているつもりです。ただ、開幕した頃は思い切りやれていたのが、今は変に考えすぎてそういうプレーが少なくなっているのかなと思い始めています。
プレーや判断のスピードという部分も、プロの試合に慣れてきていますし、その中で、例えば自分がボールを持ったときは、攻撃のスイッチを入れるようなプレーを選択していきたいと思っています。
守備の部分では、真似をしているわけではないですが、(柴戸)海くんの動きを見るようにしています。ボランチのところでボールを奪うことが大事なので、奪い切ることを意識していますし、それが試合の中で良い形で出ているのかなと思います」
ルヴァンカップの柏戦では79分から出場し、アディショナルタイム2分にレッズでの初ゴールを記録。右CKから槙野智章、興梠慎三が頭でつないだボールをボレーで蹴り込んで、その後のドローへとつないだ。
「残り時間が少ない状況でしたが、あのときは『1点取れば流れが変わる、絶対に決めてやろう』と思っていました。最初に槙野くんが競り勝って、慎三さんのところにボールが行ったときに慎三さんと目が合ったので、絶対に落としてくれると思いました。丁寧なボールをくれたので合わせるだけでしたし、とにかく力まないようにしてうまくミートできました。慎三さんも僕もフリーでしたが、セットプレーであんな状況はなかなかないと思います。
決めた瞬間はうれしかったですが、喜ぶよりも『もう1点取りに行く』という感情のほうが先に出てきましたね」
自分が出場してからビハインドが広がったときの心情はどうだったのだろうか。
「3点目を取られたときはメンタル的に厳しかったですが、諦めたら終わりですし、周りの選手たちの表情を見ても、誰一人諦めていませんでした。それが、あの結果につながったんだと思います。
残り時間が少ない中では、大きく前に蹴るのも戦術の一つですけど、福岡戦では焦って前に蹴ってはね返されて、という場面が多かったので、柏戦では自分たちのやり方を崩さずにやりました。それで点を取って追いつけたのは本当に大きかったです。グループステージ突破に向けて、というだけでなく、リーグ戦にもつながる試合だったと思っています」
リーグ戦では3連勝の後、負け、勝ち、負け。中位から這い上がるためにも、ホームで再び連勝街道へのスタートを切りたいところだ。
「福岡戦は早い時間に失点したことで、自分たちには焦りが、相手には余裕が出てしまいました。それが敗因の一つだと思います。
ボールを保持して敵陣まで運ぶことはできていますが、守りを固める相手をどう崩すのかというところは今の課題です。練習でいろいろなパターンの攻撃をやっているので、それ生かして点を取っていきたいですね。自分自身も前線に入って行く回数を増やしたり、ミドルシュートにチャレンジしたりというのをやっていきたいです。
ホームとアウェイの差は感じますね。柏戦で1-1に追いつかれたときは、相手のゴール裏の手拍子や勢いに飲まれたところがあったと思います。逆にホームの大分戦では、味方の拍手だったり、太鼓だったりに励まされて、『いける』と思いました。その差は大きいと感じています」
「母の日」特集
ーMOTHERS'S DAY SPECIALー
本日5月9日は「母の日」ということで、お母さんへの感謝の気持ちや「母の日」にまつわるエピソードなどを選手や監督に聞きました。さらに、母と子で埼スタに足を運んでくれているサポーターのみなさんの素敵な写真も紹介します!
明本考浩
「子どもの頃の話です。お母さんにお花を買ってあげようと思って、千円札を握り締めてお店に行ったんですけど、途中でお金を落としてしまって買えなかった、ということがありました。だいぶ小さい頃だったので大金でしたよ。そのときは隣に兄がいたので買うことはできましたけど。
プロになってから給料をもらってご馳走したことはありますが、大きなものはまだあげていないので、今年は何かしたいと思います。
それと、今日ゴールを決めてお母さんへのプレゼントにしたいです」
柴戸 海
「結婚してから、母の日に限らず行事やお祝い事に関して奧さんがすごく準備をしてくれるのでありがたいです。今年も何か送ろうかと思っています。
自分に子どもができてから、親に対する気持ちが変わりました。自分が子どもを育てることで見えることが違ってくるし、その大変さが分かります。ここまで育ててくれてありがとう、という感謝の気持ちが大きくなりました。
ウチは子どもがまだ小さいので、妻に対して母の日のプレゼントはできませんが、子どもに代わって僕が毎年お花を贈ったりしています」
小泉佳穂
「子どもの頃は、花を贈ったりしていたと思うんですけど、僕はそういうイベント事って恥ずかしくて苦手なんです。だから毎年コンスタントに何かをやってきたということはありません。
大学生のとき、お母さんにプレゼントをあげている友だちもいましたけど、学校に行かせてもらっている立場で、親からもらったお金で親にプレゼントを買うというのは、何か違うなと思っていました。
プロになってからも去年までは経済的に厳しいこともあって何も買っていませんでしたが、今年はあげたいなと思っています。実家が東京なので、沖縄にいたときは簡単に会うことができませんでしたが、今は行こうと思えばすぐですからね」
西川周作
「ウチの奧さんに、娘たちがいつもママの似顔絵を描いて渡したりしていますが、今年は小学3年生と1年生になるので、自分たちのお小遣いで、自分たちで花を買いに行って選ぶはずです」
武藤雄樹
「これまで母の日に何かしてきたかというと、大したことはしてないですが、連絡は取っていますし、ちょっとしたプレゼントはしています。
母親には人として育ててくれたというだけでなく、子どもの頃から僕の夢を応援し続けてくれたことに感謝しています。朝練のために、5時半に起きてお弁当を作ってくれたり、そういう支えがあったからこそ頑張ってこられました。その甲斐あって夢が叶い、こうやってサッカー選手ができています。
今も応援してくれていますが、いつも良いニュースを届けたいと思っていますし、ほとんどのホームゲームに来てくれているので、今日の試合で自分の今季初ゴールが決められたら最高のプレゼントになりますね。ソックスの中にカーネーションとかしのばせておこうかな(笑)。
それと、ウチの娘は4歳なんですが、毎年母の日には僕がママの顔を描こうと言って描いています。それと、一緒にカーネーションを買いに行きますね」
伊藤敦樹
「母の日には、姉2人がプレゼントを買って、僕がそれを母親に渡すということをやってきました。
今年からプロになったので『何か』とも思いますが、まずは今日の試合で勝利をプレゼントしたいです。
大学は寮だったんですが、洗濯を始め、いろいろなことを自分でやるようになって、それまでいかにいろいろな面で支えてもらっていたかを改めて感じました。大学のときもほとんどの試合を見に来てくれましたし、育ててくれたというだけでなく、応援してくれたことに感謝しています。今でもそうですが、プロになってからは自分が活躍することで恩返ししたいと思っています」
リカルド ロドリゲス監督
「スペインでは母の日は先週、5月の第一日曜日なんです。日本では今日ですね。母の日には家族で食事に出かけることが多かったです。懐かしいですね。母にはもう1年半も会っていません。
日本ではお母さんにカーネーションを贈るそうですが、カーネーションというのは、歌手が歌っているところに投げられたりする情熱的な花ですから、母への愛情を示すには非常に良いですね」(※注:カーネーションはスペインの国花)
THE MDP
文●清尾 淳
海水浴場のある町で生まれた僕は、子どもの頃、漁師の伯父にこう言われた。
「海で波が小さくても、潮が沖に向かっているときは、深いところまで行ってはいけない」
泳ぎが達者でなければ潮に逆らって泳ぐのは難しいから、足の立たないところまで行くときは、潮の方向に気をつけないといけない。そういうことだった。
派手な波よりも、目には見えない潮のほうが物を確実に運んでいく。このことを最近思い出している。
4月のひと月を切り取ると、浦和レッズは公式戦5勝1分け1敗と、上々の成績だった。だが、直近の2週間を見れば1勝2分け1敗。良いとは言えない。
チームが少しずつ前進していることは分かっていても、目の前の結果とその結果を生んだ試合内容がかんばしくないと、気分は明るくない。
どの試合も立ち上がりはまずまず以上だ。だが、その良い時間帯に点を取れないと、相手が主導権を握る時間が増えてくる。ルヴァンカップの湘南戦やリーグの福岡戦がそんな感じだった。
一方、リーグの大分戦やルヴァンカップの柏戦のように、立ち上がりの良い時間に点を取っても、2点目を取れないうちに追いつかれ、逆転されて苦しくなる試合もある。特に1点返されると、それまでできていたことができなくなってしまうように感じる。
試合の中で、良いときと良くないときの波があり、もどかしさを覚えることが少なくない。しかし一喜一憂することはない、と思い直したとき、冒頭の「波と潮」の関係が浮かんできた。
今季の始動からずっと、浦和レッズはリカルド監督のサッカーを追求してきたし、それはこれからも続いていく。それは潮の流れと同じだ。
そのときどきに良い悪いの波は来るし、たまに荒波に揉まれることもある。それがピッチでの選手たちのプレーと結果。そういうはっきり目に見えるものの底流に「潮」がある。
例えば、スコアレスドローだった4月28日のルヴァンカップ湘南戦。相手のプレスに苦しんだ試合だったが、ビルドアップの途中で奪われた場面でファーストディフェンスがしっかりできていることが多く、守備の構えを敷く時間が作れていた。そこから即時奪回して攻撃に移れればもっと良かったが、ファーストディフェンスがなければ即時奪回もない。チーム全体が目指す方向に進んでいると言えるのではないか。
同じドローでも5月5日のルヴァンカップ柏戦は波が大きかった。早い時間にユンカーのレッズデビューゴールが飛び出す最高の滑り出しだったが、後半は3点を失う逆風だった。そこからアディショナルタイムに2得点。心が折れそうな状況でも闘う炎を消さなかったことに加え、1秒でも早く柏ゴール前にボールを送りたい心情を抑えて、自分たちのやり方で攻撃を続け、それを実らせたことに目を見張った。
追いつかれた後に続けて失点してしまったことや、他のチャンスを生かせなかったことなど、反省は多くある。それはそれとして、浦和レッズが前進していることを示す試合だった。
波があっても、潮の方向は変わらない。
始動から約4カ月、チームは一貫してブレずに進んでいる。その潮にしっかりと乗っている選手もいれば、必死で外れまいとしている選手もいて一様ではないが、潮をつかんだ選手、つかみかけている選手が徐々に増えているように思う。例えば攻撃への絡み方が目に見えてスムーズになってきた選手、相手のプレスをかわして攻撃のスイッチを入れる回数が増えてきた選手、逆に攻から守への切り替えが格段に早くなってきた選手。そういう個々の変化も列挙できる。
正直言えば、柏戦の84分に3点目を失ったときには、万事休すか、と覚悟した。だが選手たちの諦めない姿勢と、「潮」をしっかり意識した反撃に、気を取り直した。劣勢を終盤になって盛り返した例は過去にもあるし、リードを広げてホッとする相手にスキが生まれることもある。試合中は信じることしかできない者が、信じることをやめるのは、「期待しています」、「頑張ってください」という言葉で取材を締めた自分を否定することになる。
海の潮は時間によって流れが変わるが、チームの潮は自分たちで作り出すものだ。流れはまだ速くなくてもいい。しっかりと全員が方向を理解し、進んでいることが今は肝要だ。
しかし、ゆっくりでも確実に流れていく潮が、速く大きな流れになっていくのに、ファン・サポーターの後押しがどれほど力になるのかは、言うまでもない。