MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
8月14日にここ浦和駒場スタジアムで行われたサガン鳥栖戦は、勝てば3位・鳥栖との勝ち点差が「3」に縮まり、負ければ「9」に広がるという非常に重要な一戦でした。相手がスペースを与えてくれず簡単な試合ではありませんでしたが、選手全員が最後まで集中して戦い、2-1で勝つことができました。
18日に行われた天皇杯ラウンド16の京都サンガ戦は、前半に先制点を奪い、その後も追加点のチャンスを作りました。それを生かすことができず、最後は相手の反撃に苦しむ時間帯もありましたが、最も大事な目標である勝利をつかむことができました。
そして前節の徳島ヴォルティス戦、前半は相手に支配される時間が長くなりました。京都戦からの準備期間が短く、選手たちには疲労もあったと思います。前半を0-0で折り返せたのは運もあったかもしれません。それでもハーフタイムに修正してからは、我々がゲームを支配する時間も出てきて、少ないチャンスでゴールを挙げる決定力を見せました。終盤は3バックにするなどして試合をコントロールし、1-0で勝つことができました。
この3試合はアウェイでの連戦もあって準備に影響がありましたが、結果には満足しています。3つの大会すべてで勝ち残っていますし、リーグ戦では十分に3位を狙える位置にいます。
一方でこの3試合は、多くの時間帯で主導権を握るという展開にはなりませんでした。相手がこちらを研究してきているということも理由の一つです。また、新加入選手たちが、まだ十分にチームに順応していないということもあるでしょう。
連戦中で、今はなかなか時間をかけたトレーニングができません。通常ならプレシーズンの時期に行うべき始まりのプロセスを、試合を戦いながら新たに踏んでいるところです。選手の組み合わせを含め、どういうオプションがベストパフォーマンスにつながるのかを探っている最中です。
全員のコンディションが整ったときには、力を落とさずにターンオーバーができるくらいの戦力にしたいと思っています。
シーズンは残り3分の1に差し掛かります。以前にも例えましたが、トライアスロンで言えば最後の「ランニング」に入るところです。勝利を優先させながらも、自分たちのスタイルを出していくことを重視していきたいと思います。
本日の相手、サンフレッチェ広島は非常に堅いチームです。いかに相手の守備を崩して得点を奪うかが課題となるでしょう。
前回のホームゲームで、ファン・サポーターのみなさんが披露してくれた応援パフォーマンスは素晴らしいものでした。浦和駒場スタジアムには浦和レッズの歴史が詰まっていますし、多くの試合がみなさんの記憶に残っていることでしょう。そのスタジアムで、レッズが最高の状態だった時期を上回るチームに成長していくことを目指したいと思っています。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
リーグ再開後、鳥栖戦から公式戦3試合に出場。ここまでは右サイドハーフで出場することが多いが、天皇杯の京都戦では65分から出場し、開幕前の練習試合でたびたび務めていた左サイドハーフのポジションに入った。
「去年は(大分で)ほぼ左サイドしかやっていなかったので、ドリブルという部分では左のほうがやりやすいですし、『シュートを求められている』ということも含めて左のほうが楽しいです。ただ、今季は右サイドでも結果を残したいと思っています。右ではドリブルよりもオフ・ザ・ボールの走りやワンツーで相手の裏を取って、出てきたボールをダイレクトで上げるというシーンが増えてくると思います。両サイドをこなすことで自分のプレーの幅も広がりますし、そこはポジティブにとらえています。
公式戦3連勝は良い傾向だと思います。自分自身、徳島戦の出来は良くなかったのですが、(西川)周作さんをはじめとする守備陣が無失点で乗り切ってくれて、チームとして勝ち切ることができました。次の機会には自分がチームを助けるようなプレーができればと思っています」
5月のキャスパー ユンカー加入のインパクトは大きかったが、中断明けからはアレクサンダー ショルツ、江坂任、酒井宏樹、平野佑一、木下康介と5人の新戦力が加わった。右サイドハーフでは前線の江坂はもちろん、右サイドバックの酒井ら新加入選手との連係が重要になる。
「(江坂)任とは練習試合でも何回か組んでうまくやれています。同い年ということもあってよく話しますし、関係はいいと思います。欲しいところにボールをくれるし、これから結果にもつなげていきたいです。(酒井)宏樹くんとはこれから良くなっていくと思いますが、自分の良さを出すことだけでなく、宏樹くんの良さも引き出せるようにしないといけません。宏樹くんの推進力を引き出すことができれば、自分のプレーの幅も広がることになると思います。
正直、シーズン途中にこれだけの選手が入って来るという経験はないですし、自分も今季レッズに加入したばかりで、初日からしばらくは手探りの状態で、チームを知り、自分を知ってもらうのに時間がかかりました。各選手が合流してからまだ何日も経っていないですし、連戦中なのでなかなか練習もできません。試合で合わせていくしかない状況ですから、まだまだこれからだと思います。
ただ、そういう状況でも公式戦で3連勝できています。特に徳島戦では後半に修正して内容的にも良くなりました。自分が交代してから良くなった、と自分で言うのは悔しいですが、そういう粘り強さが出て勝ちに持っていけたのは良かったです。
試合ごとに連係を深めながら、勝っていければと思っています」
浦和駒場スタジアムでの試合は天皇杯の富山戦に続いて鳥栖戦が2度目だった。
「良い雰囲気を作ってもらっているので、また駒場で試合をするのが楽しみです。鳥栖戦で『THIS IS KOMABA』という旗を見たときに、レッズにとって特別な場所なんだなと思いましたし、そういう場所で勝利に貢献するプレーをしたいです」
リーグ再開後、札幌戦と徳島戦に先発。鳥栖戦と天皇杯の京都戦は途中出場した。しかし札幌戦の58分に、自身のボールロストが2点目を奪われるきっかけになってしまうという悔しいシーンもあった。
「札幌戦は前半から何度かボールを失うシーンがあって、自分でも良くないと感じていました。あそこで修正できなかったことが、あの失点につながったと思いますし、その後に途中交代になってしまったことは悔やまれます。
ただ、終わったことはもう取り返せないので、あの失敗を次につなげるために、自分が成長していくために、練習からどう取り組んでいくかが重要です。二度目はないと思っていますし、『あのミスがあって良かった』と思えるように、今後は特に攻撃の部分で成長していきたいです。
チームとしては公式戦3連勝と流れに乗れています。どう戦うかという部分が整理されてきている中で、徐々に失点が減っていますし、点もしっかり取れている。攻守のバランスは取れていると思います。
徳島戦の前半は自分たちの良さが出せず、相手の良さを消すこともできませんでしたが、そこで失点しなかったのは、チームとしてやるべきことを統一できていたということです。難しい時間帯に失点しなかったという点で、勝負強さもついてきたのかなと思います。前半の難しい時間を耐えたことが後半の先制点と勝利につながりましたし、それが勝因の一つだったと思います。
簡単な試合はないですが、勝ちながらチームとして成長していくこと、次につなげていくことが大事です。また、自分たちがやりたいサッカーをして勝つことで自信もついてくるはずですから、その良さを出して勝つ試合を増やしていきたいです」
新加入の平野は大学時代に対戦したことがあり、大学選抜の選考会などでも一緒になった間柄。その平野の加入によってボランチの競争が激しくなっている。
「本当に誰が出てもおかしくない状況です。それぞれスタイルは違いますが、監督から求められることは変わらないので、求められていることをやりながら、各選手が自分の良さを発揮していくことになります。それぞれの持ち味を出していくことでお互いに刺激になりますし、そこでの競争によってお互いのスキルが上がっていくと思います」
他チームの結果次第では、3位に勝ち点で並ぶという状況が続いている。
「この広島戦は、自分たちが持っているものすべてを出して戦うしかないと思っています。自分がレッズに入った2018年以降、この時期に3位を狙える位置にいることはなかったので、このチャンスを絶対にモノにしたいですし、目標が明確になっている分、チームとしてもそこに向かう力は高まっていくと思います。
声が出せないなど難しい状況の中で、ファン・サポーターのみなさんは自分たちを後押しするための手段をいろいろと考えて、実行してくれていますし、浦和駒場スタジアムがホームだと感じられるような雰囲気を作ってくれています。それに応える方法は結果を出すことなので、必ず勝ち点3を取りたいです」
出場機会が増えてきたところで公式戦が中断したが、再開後も続けて全試合に出場している。攻撃時のプレースキッカーを務め、天皇杯の京都戦では15分に左CKから岩波拓也の決勝点をアシスト。鳥栖戦では51分に田中の右クロスをヘッドで折り返し、江坂のシュートにつなげるチャンスも作った。72分から出場した徳島戦では1点を守ることを意識しながら、ドリブルでゴール前に切れ込む、クロスでチャンスを作るなどゴールへの意欲を見せた。
「鳥栖戦の後半、江坂くんのシュートにつながったヘディングは、自分でシュートするという選択肢もありましたが、ゴールまで少し距離があったので、折り返しました。手応えのあった試合ですが、数字が求められるポジションなので、試合を通してみれば何も残していないと思っています。
京都戦のCKは、ファーよりもニアのほうが点につながりそうな感覚がありました。これまでもCKを蹴らせてもらっていますが、点にならないと良いキッカーとは思われなくなってしまうので、あそこでアシストができて良かったです。
試合に出られるようになって、ボールを受けてからの余裕が出てきたというのもありますし、試合を重ねるごとに自信がつき、感覚も良くなってきています。もちろん自分が活躍したいというのはありますが、チームへの貢献度が大事だと思っているので、『試合に負けたけど自分のパフォーマンスは良かった』というのは違うと思います。まずはチームが勝つこと。たとえ自分のパフォーマンスが良くなくても、守備でがんばるとか、チームに貢献することを一番に考えています」
ボールを持って前を向くとファン・サポーターの期待は高まる。それに応えるように相手を1人、2人とかわすシーンも多い。だが、シュートやクロスがゴールにつながる場面はまだ多くない。そこは乗り越えるべき“壁”だろうか。
「ハーフウェーライン付近で1枚、2枚かわしても、全然満足できません。ドリブルはゴールを取るための手段であって、相手を抜くことが目的ではないので、それだけでは『うまかったね』で終わってしまいます。ですから今は、ドリブルする位置を重視しています。
でも、“壁”とは思っていません。チーム全体として良くなれば、自分がドリブルする位置も自然と相手ゴールに近くなるでしょうし、点を取るチャンスも増えてくると思っています」
公式戦2度目の先発出場となった6月の天皇杯富山戦では、80分にユンカーの決勝点をアシスト。そのときの会場は浦和駒場スタジアムだった。
「駒場は、僕自身が今こうやって試合に出られるきっかけを作ってくれたスタジアムだと思っています。そこで初アシストできました。もちろん、埼スタも素晴らしいスタジアムですけど、駒場は自分にとって特別なスタジアムになりました。
鳥栖戦では『THIS IS KOMABA』の旗や、レッズカラーに染められているスタンドを見て、さらにホーム感が高まった感覚がありました。広島戦ではその駒場で、リーグ戦の勝利に貢献するプレーができるようにしたいです」
THE MDP
文●清尾 淳
違和感…、ではなかった。
「違う」のではなく、どちらかと言えば「和む」感じだった。それでいて「あれ?」という気持ちもあった。
学生時代、すごく久しぶりに帰省して実家に泊り、翌朝かつての自分の部屋で目を覚まして天井を見たときの感覚、と言えば分かってもらえるだろうか。
慣れていることなのに、長く味わっていないものに触れたのだ。
8月14日(土)のサガン鳥栖戦。試合前、場内放送で「EVERYBODY」が流れた。
聞き慣れた曲だから、最初は何も感じなかった。
続いて「いや、でも…」と思った。
これ、ずいぶん久しぶりなんじゃないか?
そうか。駒場のリーグ戦だからか。
この曲はいわゆる“予ベル”だった。
「EVERYBODY」に続いて「HOUSE OF LOVE」が流れ、選手紹介、というのが駒場時代の場内放送だった。芝居の公演などで開演5分前に鳴るベルを「予ベル」あるいは「1ベル」といい、開演の直前に鳴るものを「本ベル」または「2ベル」というが、「EVERYBODY」が流れたら選手紹介が近いという合図なので、準備を万全にしておかなくてはならなかった。気合の入ったサポーターの表情を撮るためだ。
鳥栖戦の「EVERYBODY」は、予ベルの時間よりだいぶ早かったが、僕の気持ちを“駒場モード”にするには十分だった。
ピッチを見たら、先発11人のうち8人が今季新加入の選手だった。西川と岩波と槙野も、駒場でのリーグ戦は初体験だった。そして試合前からホーム色をいっぱいに醸し出したビジュアルや、応援の手拍子、拍手によって、まさにホームゲームならではの勝ち方をした。
今日も浦和駒場スタジアムでのリーグ戦だ。選手たちはもう完全にホームとしての感触をつかんでいるに違いない。
最近は、クラブも駒場を「聖地」と呼んでいる。
レッズのJリーグが始まったのも、福田正博がJリーグ単独得点王を獲ったのも、J2降格とJ1復帰のVゴールが決まったのも、初めてのリーグ戦ステージ優勝が決まったのも、みんなここだ。Jリーグをはじめ、2度のACL、YBCルヴァンカップ、スルガ銀行杯、天皇杯…。多くのタイトルを獲った場所である埼スタに比べて華やかさは少ないかもしれないが、間違いなく駒場が浦和レッズの原点だから、「聖地」と呼ぶことに僕自身、異論はない。
ただ埼スタができてスタジアムに来られるようになったサポーターが圧倒的に多い中で、「聖地」という感覚が、理解はできてもピンとこない人もいるのではないか。
これならどうだろう。
浦和レッズが生まれて、大人になるまで育ったところ。浦和レッズが少しずつ強くなっていったところ。
生地。
ここでは絶対に負けない。どんな相手にも、どんな試合になっても、最後はホームの力で勝つ。
そう心を一つにして、今日も闘いたい。