MANAGER'S VOICE
Estimados aficionados!
リカルド ロドリゲスです。
先週の水曜日にここ浦和駒場スタジアムで行われたサンフレッチェ広島戦は1-0で勝利しました。良い立ち上がりの中で先制点を挙げることができましたが、その後はなかなか前線を起点にした崩しができませんでした。後半、選手を入れ替えるなどして追加点を狙いましたが、うまくいかず相手に押し込まれる時間帯もありました。それでも、無失点で試合を終えることができて勝ち点3を手にしました。
この試合は、3バックで攻めて4バックで守るというやり方でした。相手DFの動向を見てやり方を変えていきました。同じ試合の中でもバリエーションを持っているのは良いことです。
日曜日にアウェイで行われた湘南ベルマーレ戦はスコアレスドローに終わりました。負けなかったことはポジティブですし、無失点が続いているのも良いことですが、こちらのチャンスのところで決めるべきでした。特に35分のチャンスは、最後に押し込むだけという形でしたから決めたかったところです。また、ビッグチャンスがそれを含めて2回だけというのは少なすぎます。もっとチャンスを作って得点の機会を増やしていきたいと思います。
もし湘南戦でゴールが決まって勝利していれば、勝ち点47で5チームが並ぶ状況になっていたので残念ではありますが、3位との勝ち点差が2に縮まったことを前向きにとらえたいと思います。
今はまだシーズン途中で、最後の結果に向かっているプロセスの段階です。第38節を終えて3位以上にいることが大事です。他チームの結果も関わってきますが、我々は自分たちでできることをやっていくだけです。
このところ無失点の試合が続いていますが、守備にもいろいろなオプションがあり、それをトレーニングで増やそうとしています。試合の中でうまくいっていない場合は違ったやり方を選択しますが、そのオプションを多く持っていることが重要です。酒井やショルツが加入したことによって守備が強化されたということもあります。
また自分たちがミスをした後のリアクションがとても早くなっています。ポジショニングが良くなっているということです。
ただ私は、もっと後ろからつないでいってもいいと思っています。ピッチ状態が悪かったり、前にスペースがあったりした場合はGKから長いボールを蹴る選択肢もありますが、基本的には後ろからしっかりつないでビルドアップするという自分たちのサッカーを見せることができればと思っています。
今日はYBCルヴァンカップ準々決勝の第1戦、川崎フロンターレとの試合です。川崎の能力は非常に高いものがあります。選手たちが入れ替わりながら攻撃をしてくるので、こちらがコントロールすることは難しいでしょう。複数の主力選手が海外に移籍しましたが、チーム力は落ちていないと思います。またシュートの決定力が高い選手もいます。
3月のリーグ戦では40分間、持ちこたえることができました。今回は180分の戦いであり、私たちが本当に高いレベルでプレーしないと乗り越えられない相手だと思っています。
今日は浦和レッズが何であるかということを、この浦和駒場スタジアムでしっかりと見せ、ルヴァンカップのタイトルを獲るために全力を尽くします。
Muchas gracias!
PLAYERS' VOICE
最近の公式戦で内容が良くなくても勝てていた要因の一つである“失点しない守備”は湘南戦でも継続できた。攻撃を受ける回数は少なくないが、落ち着いた対応でゴールを割らせていない。
「最近の守備で言うと、まずサイドを突破されてクロスを上げられても、中央でゴールを割らせない、フタを閉めるという対応ができています。慌てて自分のポジションから出て行くというようなことがないように意識しています。そういうピンチが試合の中で一度や二度は必ずありますが、最後はGKとセンターバックのところではね返そうというのが合言葉になっています。
後ろに人数を掛けて守っているわけではなく、ボールホルダーにしっかりとアプローチもできていますし、シュートの場面で体を寄せるなど、細部にわたって大事なことができています。失点ゼロというと後ろの選手が評価されがちですが、前線の選手も献身的にファーストDFとしての役割を果たしてくれていますから、全員が良い守備ができている結果だと思っています」
シーズン前半は3バックのチームと対戦したときに、相手のウイングバックにサイド深くまで進入されてピンチになることが多かったが、中断以降はフリーにすることが少なくなった。3バックを併用するなど、試合の中で臨機応変な対応ができている。
「ベンチからシステムやポジショニングの指示が飛んだときに、しっかりと対応できているのは選手たちのサッカーIQの高さを示していると思います。例えば広島戦は、守備のスタート位置は3バックでしたけど、相手の動きによってウイングバックが下がって4バックに見えたこともあったと思います。システムを含めて、どういう相手にどういう形でやるかというのをまだ探り探りやっている状況なので、これからは90分を通して相手を圧倒する試合というのを目指していかなければなりません。
僕がレッズに来て10年目になりますが、この夏に来た選手たちはチームに難なくフィットしていると感じます。みんなしっかりと試合に出て能力を発揮しているというのは、彼らの覚悟と能力の高さを示すものです。
年齢や経験に関係なく、選手同士のコミュニケーションがすごく良く取れています。そのときの状況に応じて、いろいろなことを言い合えるチームですから、問題が生じても解決策は出てきます。また、監督も選手の話をよく聞いてくれます。ハーフタイムにはまず選手たちがどういう話をしているか聞いていて、選手が何を考えているのかというのをしっかり把握してくれています」
今季から副キャプテンとなり、キャプテンの阿部勇樹が出ていないときにキャプテンマークを巻く機会が増えている。リーダーとしての自覚、責任感が、プレーに反映されているようにも感じられる。
「ショルツ選手と酒井(宏樹)選手が入って来て、守備陣の強度はものすごく上がっていますから、個人的にもすごくやりがいを感じています。無失点に抑える、守備の統率をするだけではなく、ビルドアップの第一歩として攻撃の組み立てのところでも守備陣で作り出していかなければなりません」
YBCルヴァンカップのタイトルは3つの大会の中で最も近いところにある。準々決勝の相手は川崎フロンターレ。今季の成績で言えばかなり高い山だ。
「まずやりがいを感じています。自分たちが今どの位置にいるのか、これまで積み上げてきたものがどれだけ通用するかということを、前回完敗した相手にぶつけたいと思います。
第1戦はホームですから、相手に点を与えないということが大事ですが、それが今のチームの強みかなと思います。ただ引いて守るだけでは川崎にこじ開けられてしまうので、今季積み上げてきた『自分たちがボールを保持して高い位置で戦う』ということができれば、前回とは違うレッズを見せられると思っています。
その後のリーグ戦に良い流れを持っていけるようにしたいです」
リーグ再開後、札幌戦、天皇杯の京都戦、湘南戦に左サイドバックとして先発出場。徳島戦は右ウイングバックで、広島戦は左ウイングバックで試合終盤から途中出場した。特に徳島戦の終盤には、相手最終ラインをしつこくチェイシングして攻撃を遅らせ、1-0のまま試合を終わらせるのに十分な貢献を果たした。再開後のコンディションは良さそうだ。
「徳島戦は残り時間も少なかったので、自分のプレーをするというよりはチームが勝つために必要なことをやりました。自分たちのCKの場面で僕も高い位置を取っていたので、そのままセカンドボールを追いかけて行きました。もちろん、ただがむしゃらに行ったわけではなく、自分のポジションにカバーに入ってくれていることを確認したうえでです。
ユンカー選手が疲れていることは分かっていたので、入ったばかりの自分が2度でも3度でも4度でも追いかけてやると思っていました。後ろからつなぐスタイルの徳島もさすがにあの時間は蹴ってくるしかない状況でしたが、1本たりともロングボールを蹴らせないぞという気持ちでした。おかげで乳酸がたまりすぎましたけど(笑)。
今は自分がやるべきことをやって、新しい選手たちにそこから何かを感じ取ってもらえればと思っています。その一つが徳島戦のチェイシングなんです。あれを見て、『ああ自分もやらないと』と若い選手が感じ取ってくれればいい。普段の練習でも、自分の経験からプレーについて語ることはありますが、試合ではそういうことも自分の役割の一つかなと思っています」
この時期に新戦力が5人も加入するのは、自身にとっても経験がないこと。その全員がすでに試合に出て結果も出ているが、今後チームはどう変化していくのだろうか。
「プレーでもピッチ外でも、これまでの新加入選手と比べて溶け込むのが早いと思います。例えば平野選手は、これまで一緒にやった選手がほとんどいないと思うんですが、それでも移籍してきて数日で試合に出てあれだけやれているんですから、これからもっと良くなるだろうなと思います。
監督が守備のときのポジショニングをはっきり提示してくれるので、自分たちが居るべき位置を全員が理解できていますし、酒井選手が入ることによって守備の強度も上がったと思います。彼個人のプレーのすごさは見ている人たちにも分かると思うんですが、彼が周囲に影響を与えることでチーム全体の強度も上がっています。ただ、酒井選手の逆サイドに入っていると、「酒井のサイドは突破できないから、こっちから行くしかないな」という相手の意図を自分のところですごく感じます(笑)。
見ている人たちも感じていると思いますが、良い内容の試合が続いているとは思っていません。それでも新しい選手が入った時期に、かつ夏の暑い時期に勝ち点を取りながらやれているのは大きいです。3位という目標に届く位置にいて、毎試合勝ち点が取れていることは自分たちの自信にもつながります。これからみんなの理解度や成熟度が上がっていくことを考えれば、すごく楽しみです」
川崎に0−5の大敗を喫したシーズン前半のリーグ戦には自身も先発出場していた。リーグ終盤の対戦で借りを返す予定だったが、ルヴァンカップの対戦でその機会が早まった。
「紛れもなく、今Jリーグで一番強いチームだと思いますし、前回のリーグ戦ではホームで完敗に終わっていますから、今度は絶対に勝ちたいです。酒井選手が代表に行くので、サイドの選手の責任もより重くなると思います」
7月上旬から約1カ月間、U-24日本代表として活動。5月からリーグ戦6試合に出場したことも含め、自身にとって大きな変化があった3カ月だったはずだが、東京2020オリンピックでの経験はどのようなものだったのだろうか。
「U-24日本代表に選ばれて同じ土俵に立ったわけですから、その中で出場機会を勝ち取れなかったことは非常に悔しかったです。こういう経験をしたからには、3年後のパリオリンピックでは第1GKになり、みんなを引っ張る存在にならなければいけないと感じています。ここからの道のりは本当に険しくなると思いますが、自分自身を追い詰めてやっていきたいです。
練習では川口(能活)GKコーチから、来たボールを弾くかキャッチするかの判断とか、セービングでもっと伸びを出すための筋トレ方法とか、シュートスピードが速いボールにどう対応していくかとか、いろいろと教えてもらって収穫がありました。
酒井選手にはレッズの雰囲気などを聞かれました。遠藤(航)選手からは以前のレッズの話を聞かせてもらいました。ルヴァンカップ優勝のときのPK戦の話とか。橋岡(大樹)選手には、夜にストレッチをしながらACLの話をしてもらいました。他にもみんなから海外の話をだいぶしてもらって貴重な経験でした」
中断明けは鳥栖戦からベンチ入りしているが、現在のチームの変化をどう見ているだろうか。また、今季カップ戦5試合とリーグ戦6試合の出場を経験して自身の心境はどう変化しているだろうか。
「本当ならもう少しボールをつないでという理想はチームとしてあると思いますが、出ているメンバーは、苦しい時間はあるけど耐える時間は声を掛けあって耐えようという話をしています。やっている選手がみんなポジティブなので、それが結果につながっているんだと思います。守備の堅さというのは見ていても分かります。監督が求めている守備時のポジショニングなどを選手が理解してやれているのだと思います。
自分が試合に出ていたとき、西川選手に声掛けなどをしてもらうことで落ち着きを持てていたという部分があるので、自分がベンチにいるときはそういう気持ちで出ている選手たちに接するようにしています。
試合に出たら、攻撃では自分からアクションを起こしていきたいと思っています。つなぐことだけに集中してしまっていたところがあるので、相手が前からプレスに来て後ろが空くようなら自分の特長を出して狙っていきたいと思います」
今日の舞台は、ユース時代に何度もプレーしているものの、プロになってからはまだピッチに立っていない駒場。相手は川崎だ。予選リーグ突破に大きく貢献したが、ホーム&アウェイ方式となる準々決勝は初めての経験になる。
「本当に早く試合に出たいです。外から試合を見るときは常に自分がプレーしていることをイメージしているのですが、例えば西川選手がすごいところにパスを通したとき、実際にピッチに立った経験があるからこそ、そこを通せるすごさというのが分かります。そういう意味では、より試合がイメージしやすくなりました。
ファン・サポーターが入った駒場で初めてウォーミングアップに出たとき、埼スタと違う独特の雰囲気があって、『ここでもやりたいな』という気持ちになりました。鳥栖戦や広島戦の雰囲気はすごかったですね。
第1戦がホームなので、いかに無失点で終えて次につなげるかが大事ですし、もし苦しい試合になっても2試合トータルでの決着だということを頭に入れて戦いたいと思います」
THE MDP
文●清尾 淳
Jリーグカップ(当時はナビスコ杯)の決勝トーナメントがホーム&アウェイの2試合で行われるようになったのは1997年からだ。
当初、この2試合制の第1戦はやや緊張感に欠けるところがあった。どういうスコアになろうと、まだ終わりではなかったからだ。
それが激変したのは2006年、アウェイゴール制が採用されてからだろう。
浦和レッズで言えば、その年の準々決勝で川崎フロンターレと対戦し、駒場スタジアムでの第1戦に4-3で勝利した。以前なら1点リードして前半戦を終えたのだから、まずまずの結果だが、アウェイゴールを3点取られたことが気がかりだった。そして等々力競技場での第2戦では、まるであつらえたように2-1で川崎が勝った。前年までなら2戦合計5-5の同点で延長になるところが、アウェイゴール制の見本を呈した形で、川崎の準決勝進出が決まった。
敗退は悔しかったが、日本で最初に適用されたこともあって、アウェイゴールを強く意識するようになった。これまで、この制度で勝ったことも負けたこともあるが、川崎には2013年のJリーグカップ準決勝で借りを返している(アウェイ2-3、ホーム1-0)。
第1戦がホームと第1戦がアウェイとで、どちらが有利とは言えないだろう。望む結果が得られたとき、ホームのほうが喜びを大勢で分かち合えるということはあるが、アウェイゴールという切り札を第2戦で使えるほうがいい、という興梠慎三の説もうなずける。
大事なのは第1戦でも第2戦でも、ホームで相手に点を与えないことだ。その意味で、うまくいかない試合でも、最後まで集中した雰囲気で勝利に導いてきたこの浦和駒場スタジアムは、絶好の場所のように思える。
川崎に対して、2カ月後に行われるアウェイのリーグ戦では、内容、結果ともホームの借りを返す力がレッズについていると信じているが、現状ではまだそこまでの成熟度には達していないかもしれない。
だがアウェイゴール制のあるホーム&アウェイ方式では、レッズが準決勝に進むチャンスが十分にあるはず。その第一歩が、今のチームの守備の堅さをホームの力で最後まで支えて、相手に点をやらないことだ。
天皇杯の2試合だけでなく、リーグ戦、ルヴァンカップ各2試合を浦和駒場スタジアムで行うことになった今季。ここが浦和レッズのホームであるという思いを、試合のたびに強くしてきただろう。
6試合目の駒場。今季最後のホームゲーム。全力で示そう。
駒場にも「(ビジターを)勝たせてくれない何かがある」ということを。