MENU

NEWS

「広島は非常に難しい相手。いくつかのアイデアがある」ヴォイテク マコウスキコーチ(定例会見 8/11)

11日、ヴォイテク マコウスキ(マコ)コーチの記者会見がオンラインで行われ、担当する守備のこと、13日にアウェイのエディオンスタジアム広島で行われる明治安田生命J1リーグ 第23節 サンフレッチェ広島戦に向けた意気込みなどを語った。

(来日して7ヵ月ほど経ったと思うが、日本の生活には慣れたか?)
「もう慣れましたし、そんなに難しいことはありませんでした。クラブの方々、周りの方々の全員が助けてくれました。日本人のすべての方が非常に親切にしてくれますので、いい日々を過ごしています」

(マココーチは守備担当ということで守備についてお伺いしたい。トレーニングキャンプはプレスのトレーニングから始まったと思うが、「ボールと味方の位置が大事なことで、相手の立ち位置は存在しない」と言っていたことが印象的だった。林 舞輝コーチ兼分析担当の訳し方もあったかもしれないが、マココーチの守備の哲学について教えてほしい)
「我々の守備のメインルールですが、マンツーマンではなくゾーンで守ります。そしてゾーンの守備を考えたとき、最も重要なのはボールの位置です。その次に見なければいけないのは、味方のポジションです」

(セットした際の守備も同じ考えだと思うが、ゾーンディフェンスについては誰かから影響を受けたのか?)
「現在ポーランドのチャンピオンチームであるラクフ チェンストホヴァに4年間在籍したことがありますが、そのときの監督がゾーンディフェンスという考え方を持っていて、自分のゾーンディフェンスを考えたときにはそこが出発点だと感じています」

(マチェイ スコルジャ監督も最初の会見のときに「構造を維持することが非常に重要」だと言っていたが、AFCチャンピオンズリーグの優勝は一つのユニットとして守れた成果だと思う。今の浦和レッズの守備力をどう捉えているか?)
「J1リーグで最少失点ですので、守備の質は良いと言えると思います。多くの要素がそれに影響していると思います。まず選手のクオリティー、そこにはDFだけではなくて、中盤の選手もGKも関わってきます。また、コーチングスタッフの影響もあると思います。例えば塩田(仁史GKアシスタント)コーチはセットプレーの守備の担当ですが、そういったところでも失点していないことが少ない失点につながっていると思います。ジョアン(ミレッ)GKコーチも非常にクオリティーの高いコーチですので、彼の影響もあると思います。また、我々のボスであるマチェイ監督によるスタッフのマネジメント、組織のマネジメントとも影響していると思いますので、多くの要素があってリーグ最少失点が実現できていると思います」

(ディフェンスの理論をどのようにチームに落とし込んでいるのか?)
「沖縄トレーニングキャンプからベースづくりをしてきていますが、その後は試合の映像なども使いながら、個別、ポジションごと、もしくはチーム全体に説明をしたりしています。今は試合が多いのでそういったことを行う時間はあまりありません。我々のアイデアを選手たちに伝えることを行い続けていますが、この時点では新しいことを彼らに伝えるというより、今までやってきたことを思い出させるという作業になっています」

(前からはめ込むプレスのスイッチの入れ方、それからブロックを敷く判断が重要な要素になっていると思うが、マココーチは選手たちにどのようなことを求めながら指導しているのか?)
「プレスをかけるタイミングはありますが、選手たちは機械ではありません。どのタイミングでスイッチを入れるのかは、選手の判断が重要になってきます。プレスのスイッチを入れるタイミングは相手がバックパスを出したときであったり、ボランチ同士のパスであったりしますが、いつ動くのかというとパスが出た瞬間です。パスが出て誰かが受けた後に行っても遅れてしまいます。

基本はハイプレスに行くという守り方ですが、例えば少し疲れていて体力を回復させるために一度ブロックを形成して相手を待つということも試合の中ではあります。例えばミドルゾーンでブロックを作っているときもルールはあります。ただ、そのルールに関して細かいことは言えません。相手チームにも情報が渡ったりしますので、そこの理解をよろしくお願いします」

(13日に対戦するサンフレッチェ広島の攻撃陣に対してどんな印象を持っているか?守るためにどういうところをポイントにしたいと考えているのか?)
「広島は非常に難しい相手です。スタッツを見ても、ゴール期待値がJ1リーグで最も高いチームです。そして被ゴール期待値、相手チームのゴール期待値を最も低く抑えているチームでもあります。基本的に3バックでプレーするチームで、2試合のみ4バックでプレーしています。ここ8試合で勝利していませんので、彼らにとっては少し難しい時期だと思います。ですが、この悪い時期を打ち破ろうとしながら次の試合もプレーすると思いますので気を付けなければいけません。

彼らの攻撃に関して言えば、相手ディフェンスラインの裏に抜けることを一つの哲学にしていると思います。特に川村(拓夢)選手が真ん中から出てきます。ビルドアップでは、キャプテンで左センターバックの佐々木(翔)選手がいいと思います。グラウンダーでライン間にパスを通すこともあれば、ロングボールで相手ディフェンスの背後に出すこともできます。その広島に対してどのように守るかということに関しては、いくつかのアイデアを用意してあります」

(まずレッズに来ることが決まったときに、昨シーズンの試合なども見たと思うが、手をつけなければいけないことがたくさんあると感じたのか?それともこの辺りを少し直せばすぐに改善できると感じたのか?)
「ディフェンスに関してはどれだけ大変になるか、そうではないのかという考え方ではなく、我々のアイデアやルールを伝えることを考えました。昨年やっていたことが重要ではないとは言いませんが、我々とは違った考えのもとで行っていたプレーですので、それがいいとか悪いとかではなく、自分たちが自分たちの考えを彼らに伝えることを重要視しました」

(特にハイプレスが強調されることが多いが、無失点に終わったがずっと攻められ続け、CKに逃げる状態で終わった場合は良しとしないと思う。マココーチはどういう状態のときにいい守備ができていると言えるのか?)
「いい質問ですね。無失点だから守備が良かったと見る人もいると思いますが、例えばハイプレスの後にゴールを取るといったように、守備から攻撃に移ることがあります。サッカーでは無失点が勝ち点2.5につながるということがあります。ですので、まず失点しないとことは非常に大事なことだと思いますが、相手からボールを奪って点を取ることも重要だと思います」

(先ほどゴール期待値という言葉があったが、サッカーにはいろいろなデータがあり、例えば守備ではパスごとの守備の行動値を表すPPDA(Passes Allowed Per Defensive Actions)など、いろいろな指標が出てきていると思うが、マココーチが大事にしているデータはあるか?)
「まずは得点、失点のところを見たりします。試合を見ている方々の多くはポゼッション率も気にしていると思いますが、ゴール期待値につながる決定機をどれくらいつくれたのか、相手に決定機をどれくらいつくらせたのかというところが重要になってくると思います。また、ペナルティーエリア内への侵入も大事だと思います。例えばこの前の横浜F・マリノス戦では、レッズは23回侵入し、マリノスは7回侵入しました。このデータを見れば、どちらが上回っていたのかということを私は感じることができます」

(今はJリーグのサッカーもヨーロッパも、どんなチームもまずしっかり守備を行っていて、ハイプレスなどで相手のボールを戦術的に奪うことが試合の主導権を握ることにつながっていると思うが、マココーチは守備の重要性をどのように考えているのか?)
「繰り返しになりますが、無失点で終わる試合は平均して勝ち点2.5につながっています。勝ち点2.5は大きいと思いますので、失点しないことの重要性は大きいと思います。モダンサッカーでは選手たちが守備で走らなければいけません。全ての面で向上していると思います。技術レベルも全体的に上がっていると思いますし、ボールを持ったときのプレースピードも昔より上がっています。また、ボールを持ってない選手も、昔よりさらに速く走るプレーが求められます」

(どのチームも高い位置からプレスをかけてボールを奪いたいと思うだろうが、ハイプレスをかける上で一番大事になることは?)
「強度です」

(どのような強度なのかもう少し詳しく教えてほしい)
「プレスは一列目から始まります。それはストライカーであったりウイングであったりします。効果的なプレスをかけるためには、その一列目の選手が高い強度で行かなければいけません。もう一つはいつプレスに行くのかというタイミングです。そしていかにアグレッシブに行くのかということが次に行きます。その次に重要なのは選手同士の連係です。プレスは個人のプレーではなく、組織的なものでなければいけません。そして全てのゾーンで準備ができていなければいけません。相手選手はライン間にパスを出してくるかもしれないし、サイドを使うかもしれない。プレスに行っていればロングボールを背後に蹴ってくるかもしれないので、そのときディフェンスラインの選手はいいポジショニング、いい体の向き、そしていい距離感で守れるようにしていなければいけません」

(マココーチは33歳と若く、20代のころは育成組織でも指導していたと思うが?)
「日本に来る前は5年間プロサッカーで仕事していました。その前は若い世代の仕事をしていました」

(選手のころにはどのような選手だったのか?コーチになろうと思ったきっかけは?)
「最後の質問について最初に答えますが、選手として十分でなかったのでコーチを目指しました。シンプルな話です。怪我などではありませんでした。技術が十分ではありませんでした。20歳か21歳くらいのときにはプロサッカー選手になれないことが自分で分かっていましたので、大好きなサッカー界に残るために決断しました。コーチとして愛するサッカーに関わるという決断をしましたが、コーチの立場としてトップを目指そうと思っています。選手としてはハードワークをするタイプでした」

(Jリーグのいろいろなチームを分析されていると思うが、攻撃で面白いと思うチームはあるか?)
「サガン鳥栖が興味深い攻撃をします。他のチームとは違ったビルドアップしながら攻撃します」

(守備で面白いと思うチームはあるか?)
「最少失点のチームですね(笑)」

(これまではいろいろな選手を見てこられたと思うが、例えばセンターバックに向いているのはどんな選手か?)
「まずピッチでアグレッシブにできる選手が必要です。空中戦で勝て、スピードがあって方向転換が早くできるという特長が必要です。そしてセンターバックにまず求められるのが、守備のスキルです。素晴らしいパスを持っていればとてもいいことですし、自分のすぐ隣だけではなく、相手のラインの背後など、ピッチのいろいろなところを見る視野の広さもあればプラスになります」

(人間性についてはどうか?)
「アグレッシブというのは性格にも含まれると思います」

(日本だと元々FWでプレーしていた選手がDFにコンバートすることがあるが、ポーランドでもそういった考えや例はあるのか?)
「あまり記憶にはありませんが、ボルシア ドルトムントでプレーしていたウカシュ ピシュチェク選手がいます。ポーランドのトップリーグでストライカーとしてキャリアをスタートさせた選手です、ですが、キャリアの最後はサイドバック、あるいは3バックの右センターバックでプレーしていました」

(マチェイ監督との関係性についてお伺いしたい。付き合いの期間や彼の性格、マネジメントのすごさについて教えてほしい)
「マチェイ監督とは2年前に初めて会い、彼のコーチングスタッフのグループに入れてもらいました。レフ ポズナンで1年間一緒に仕事をした後、浦和レッズに来ました。マチェイ監督は野心的な監督だと思います。非常に高いモチベーションを持って仕事をする方で、そのモチベーションを周りにも伝染させます」

(マチェイ監督から褒められたり怒られたりすることはあるのか?)
「もちろん感情がありますので、そういうこともあります。このように1年間一緒に働いた後、レッズにも来てくれと言われましたので、ある程度は自分の仕事に満足してくれていると思います。自分が完璧な仕事をしているとは思いませんが、怒られた場面は思い出せません(笑)」

(マココーチがサッカーを始めたきっかけは?)
「家族の影響があると思います。祖父が大のサッカーファンで、小さいころからサッカーを見たり、サッカーのことを考えたりすることが普通でした。おそらくあの中で走り回ってボールを追いかけている人たちの1人になりたかったのだと思います」

(好きなクラブや憧れた選手は?)
「指導者になってからはファン目線で試合を見ることはなくなりました。いろいろな試合を見ますが、それは自分のコーチとしての道具を増やすために見るためです」

(子どもの頃の憧れは?)
「ユベントスが好きで、好きな選手はジネディーヌ ジダンでした。ジダンが加入したのでレアル マドリードのファンにもなりました(笑)」

【浦和レッズオフィシャルメディア(URD:OM)】

「広島は非常に難しい相手。いくつかのアイデアがある」ヴォイテク マコウスキコーチ(定例会見 8/11)

PARTNERパートナー

  • ポラスグループ
  • Nike
  • 三菱重工
  • 三菱自動車
  • エネクル
  • DHL
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド
  • チケットぴあ